
午後8時。
面会時間の終了を知らせるアナウンスが流れると、
父は毎回、
「じゃ、また明日。気をつけて帰りなさい。」と言った。
そんなある夜、病院を出て、駐車場へ歩いていると、
自分の影に気がつき、目をあげた。
大きな月があった。
やっと涼しくなった駐車場の車の上にも月は反射して輝いていた。
カーテンを閉めた父の病室の窓からこの月は見えない。
眠れぬ夜を、死を感じつつ静かに孤独と戦っていたであろう父。
最後の入院から3ヵ月後父は亡くなった。
葬式も済んだのに、父に会えないことが信じられず、
幾晩も、幾晩も墓の前で佇んだ。
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